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八百屋の空
八百屋は楽しい。なんて多くの野菜が並んでいるのだろう!
どれもこれも形や色がまちまちで、個性を主張している。
みんな美味しそうだ。

・・などと書き出したのに、ぼくは奥さんが八百屋で買い物をしているあいだ
外で待っていた。
奥さんも八百屋へ入ると長い。
ひとつひとつ飽きるまで眺めているんじゃないかと思う。

当分は出て来ないな、と思って日暮れの空など写真に撮っていた。

P1210068.jpg

「何かあるの?」

振り向けば、おっさんがぼくと一緒に上を見上げている。
風体からして八百屋の店主だろう。
八百屋や魚屋の店主というのは、みな勢いのある顔をしている。
ねじり鉢巻きの似合いそうな顔だ。

「いや、空を撮ってるんですよ」

「あ、空?へぇ」

店主はもう一度、上を見上げた。
まあ、何も無い。
雲も淡い。

(空が良い色だ、って言えば良かったかな)

店主は(何もねぇじゃねーか)って思うだろう。

ところが違った。

「オレも空撮るよ。昨日の朝は飛行機雲がスゴくてさ。こう、東の空からずーっとさ。
オレ、ロケットでも打ち上げてるのかと思ったんだ」

「へえ」

「待ってな・・」

店主は携帯を取り出して、画像を探し始めた。

P1210020.jpg

「うーん、消しちまったかな」

次々に画像を表示させながら探している。
色々な写真があって面白い。
若い女の子二人がピースしてる写真、犬の写真、市場らしき写真。
それから、何枚もきれいな花壇の写真が続いた。

「あ、これ俺んちの庭なんだ」

「へーすごい。公園みたいですね」

「へっへ」

それから、何枚も海に赤い太陽が光っている写真が続いた。

「おおーいいですね」

「これ、電車から撮ってんだよ」

「海の向こうに太陽があるということは夕陽ですかね」

「いやみんな朝日だよ。帰りの電車は、もう真っ暗さ」

「どこから撮ってるんです」

「京葉線だよ。新浦安の辺りだと、海の向こうにこうやって日が昇るんだよ」

「ああ、なるほど」

「ヘンな人になってるけどね。電車ん中で、外に携帯向けてさ」

「わはは」

「飛行機雲の写真は無いや。すぐ消しちまうんだ」

それで店主は店に戻って行った。

P1210019.jpg

まあ、朝日や夕日を一生懸命に写真に撮るような人には、見えない。
でもおっさんは撮っている、何度も何度も。
そしてぼくは、それで会話が出来た。

P1210039.jpg

ま、それだけのことなんだけど。





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